チャイコフスキー 交響曲第5番
第一回目なのでとりあえず分かりやすいものから。
……
通称チャイ5。
言わずと知れた名曲。超かっこいい。
が、これが好きと豪語してる奴は正直言ってニワカくさい。
なぜかと言うと耳に易しく分かりやすいからである。これからクラシックを聞こうとする人には「あれ、なんかクラシックもいいな」と思わせるような最適な曲だと思う。ざっくり言うと非常に初心者向けの曲なのである。
だからこれが好きと言っている奴は自称玄人さんたちに「くっさ」とばっさりニワカ認定されがちである。
だがあえて言おう。筆者はこの曲が好き。すこなんだ…w
どの楽章もメロディが素晴らしい。さすが稀代のメロディメーカーチャイコフスキー。
そして、まあ聞けば分かるが、絶望からの勝利という構図がとても分かりやすい 第一楽章の短調の主題が最後で長調となってトランペットが高らかに歌い上げるところなんてもう素晴らしいですよほんとわっかりやすいなこの曲。それは作曲者自身も理解していたようである。当のチャイコはやはり大衆受けする内容は気に食わなかったらしい。
だが、駄作認定していたこの曲が世間で賞賛を受けるや否や、評価を180度改めてしまったチャイコ。なんJ民のような熱いひら返しをしたのは彼の沽券に関わるからあまり言わないようにするけれどまあ気分よくなっちゃったんでしょうな。
筆者はこの曲を何かの締め切りに追われている曲だと勝手に思っている。
締め切りまであと一日しかないやん詰んだ…みたいな第1楽章、諦めムードに光がさす第2楽章、正直言っていらない第3楽章、課題に立ち向かう第4楽章…そしてデッドラインに間に合って勝利の歓喜に酔いしれながら曲は終わるのである。
素晴らしい。まさしく完全勝利の曲である。こんなストーリーを描いた奴が交響曲第6番悲愴という怪作を作り上げてしまうのだがそれはまた別のお話である。鬱になる以外なら欠点ないと思うんだよなあ。あとホモなくらい。
これ聞くと毎度思うんだけど、第3楽章いらねえよな?
交響曲の構成上まあ挟んでもいいんだけどさ、こう一連のストーリーみたいなのが出来上がっている曲にその構成を当てはめようとすると、ちょっと無理が生じてしまうというか、余計な部分になってしまっている気がする。というか、あまり上手くスケルツォ楽章を使えていない。
まあ作曲者自身もこの第3楽章の扱いに困ったのか、スケルツォの代わりにワルツを代用してみました〜みたいな実験的な遊びをしている。もういらないなら潔くカットしなさいよ! しかも途中からスケルツォになっちゃってるし。あの速いとこ(筆者が勝手に思っていることなので話半分にしてください)。
筆者がよく聞くというかベストな音源はこれである。
- アーティスト: カラヤン(ヘルベルト・フォン),チャイコフスキー,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団,フィルハーモニア管弦楽団
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2008/03/26
- メディア: CD
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カラヤンとベルフィルという鉄板の組み合わせ。71年録音。通説によると73年(定かではない)が一番いいとか言われているがそんなものは自称玄人に言わせておけばいいのである。
カラヤンって全ての曲の模範解答のような音楽なので、とても安心して聞いていられる。解法は山ほどあるけれど、その中でも洗練された分かりやすいものというような感じ。バーンスタインと対比されていたが、まあその通りで奴はテンポ設定などでめちゃくちゃ冒険するタイプである。まあ、あれはあれでアリ。
この音源の何がいいって、まあいくつかあるんだけどさ。
第一楽章のラストたたみかけるところ、バーンスタインとかゲルギエフのやつ聞くとここをめっちゃ遅くするんですよ。わけわかんないくらい溜める。かけっこで最後手抜いて走らんやろ? いや駆け抜けろって。君らかけっこで最後手抜いて走らんやろ? その点カラヤンはちゃんと駆け抜けてる。
第四楽章のコーダに入る前も同様。なんでここ遅くするのが結構あるんかな、突っ切って行ってほしいんだよな。
ということで、基本的に作曲者のテンポ設定に従うカラヤンさんなのでとっても聞きやすくてオススメな名盤。後期交響曲全部入ってるし、安いし。あとバレエ作品とかも収録されてるし。
余談なんだけどこのCDって交響曲+小品っていう組み合わせになってるんだけど眠りの森の美女と白鳥の湖はあるのに、くるみ割り人形だけ収録されていない。かわりに1812年が収録されてる。
時間の関係上仕方なかったんだろうけどもやもやする。
でも世間ではなぜかチャイ5はゲルギエフみたいな風潮があるので、一応貼っておく。評価高いのはロシア人だからだろうか…
- アーティスト: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ゲルギエフ(ワレリー),チャイコフスキー,ゲルギエフ(ワレリー),ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2009/05/20
- メディア: CD
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この前マリインスキーとゲルギエフのチャイ5聞きに行ったんですよ。めっちゃ上手かったんだけど、ラストのだだだだんってとこ、溜めすぎィ! 最後も手抜かないで駆け抜けろお前! 急にリテヌートするからびっくりして急に現実に引き戻されてしまったというお話。
あとカラヤンの時代ならムラヴィンスキーもロシアサウンドとか言われてるが少々荒っぽい気がする。それがロシアなんだろうか…
- アーティスト: ムラヴィンスキー(エフゲニ),チャイコフスキー,レニングラード管弦楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2009/11/11
- メディア: CD
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まあ音源は数あるので自分の好きなものを見つけるのが一番!
一番最初に聞いたものがオリジナルとして認識されるらしいので、聴き比べるとどうしても後で聞いた音源だと変だなって思ってしまう節は否めない。けどそれにも良さはあるのでそれを探してみるのもまた一興。
というわけで、たまには別の版のチャイコフスキーでも聞いてゆっくり過ごしてみてはいかがでしょう。
ではこのあたりで。
結論:チャイ5は神